スピンバイクでZwift① 導入

サイクルトレーナー

はじめに

スピンバイクを購入して2か月。いろいろノウハウが貯まってきたので書き記しておくことにする。かなりニッチな領域なので本記事が役に立つのは限られた人だと思われるが参考になれば幸いである。

2020年12月13日現在のテレワーク兼トレーニング環境

結論から言うと、スピンバイクとZwiftの組み合わせによるトレーニングは実用的かつ実効性があると言える。実際に、この2か月間のスピンバイク中心のトレーニングでFTPが向上し、峠の実走でも自己ベストを更新できた。

このトレーニング環境は特に、

  • 集合住宅や家庭内での騒音が気になる
  • 単身赴任等で手元にロードバイクがない
  • 愛車(ロードバイク)をローラーで消耗させたくない
  • Zwift環境構築のための予算が限られている

といった課題を抱えている方にはうってつけかもしれない。なお、スピンバイクを使用する以上実走感は皆無であることを断っておく。環境構築に十分な投資をできる方には全部入りのWahoo KICKR BIKEを買うことをお勧めしたい。

Wahoo KICKR BIKE

スピンバイク HAIGE HG-YX-5006 購入

そもそもなぜスピンバイクなのか。一番の理由は騒音対策。次に手軽さである。もともとハイブリッドローラー(GT-Roller M1.1)+AndroidタブレットでZwiftを楽しんでいたが、騒音と振動で妻からNGを食らい、ベランダがトレーニングスペースになっていた。ベランダならいくら全力でもがいても家族や近所迷惑にならないが、さすがに真夏や真冬は辛い。そして、その都度ローラーとバイクを持ち出して設置→トレーニング後に片付けるというプロセスが超絶面倒だった。

強い雨の日はローラートレーニングができないという欠点も

となると、静音性で定評のあるダイレクトドライブ式のスマートローラーが候補に上がるが、軒並み価格は10万円以上で予算オーバー。しかもこれで妻からのOKが出る確証が得られないことからも購入に踏み切れなかった。

そこで目をつけたのがスピンバイク。で静粛性に優れ振動は皆無。ネットで調べてみると家庭用フィットネス機材だがローラーの代わりにロードバイクのトレーニングに取り入れている方も結構いる模様。しかしながら、スピンバイクでZwiftをやろうという強者(変わり者?)はほとんどいない。

そこで人柱となるべく今回購入したのは、ハイガー社のHAIGE HG-YX-5006というモデルのスピンバイク。低価格なエントリーモデルながらもネット上の評価は極めて高く、デザインも黒基調で自分好みだった。あと、ローラーの代替えとするにあたっては以下の条件を満たす必要があったが、これらを全て満たす機材であったことが決定打となった。

  • ロードバイク用のビンディングペダルに交換できること
  • ロードバイクと同じ長さのクランクに交換できること
  • ロードバイク用のサドルに交換できること

なお、HAIGE HG-YX-5006購入にあたって参考にさせていただいたのは、シゲピンさんのブログ「syg雑記365」の「スピンバイクでZwiftできるようにしてみた」という記事。まさに自分がやりたいことそのものだった。

スピンバイク組み立て

組み立ては同梱の工具で1時間もあれば簡単にできる。ただし、非常に重いので実際にスピンバイクを設置する場所で組み立てることをお勧めする。

総重量は約26kg
メインフレームと駆動パーツは組み立てられた状態で梱包されている

サドル交換

ロードバイクのトレーニングに使うならサドルの交換は必須。同梱されているサドルはママチャリ用のものと同等で強烈にかっこ悪い。ふかふかで腰が安定しないだけでなく、スプリングのきしみ音が気になる。

そこで余っていたロードバイク用のサドルをスピンバイクに取り付けることにする。ママチャリ用サドルについている櫓を外してロードバイク用サドルに移植。

これでスピンバイクのフレームにロードバイク用サドルを固定することができる。

櫓をいじることでサドルの角度も調整可能

ペダル交換

同梱されているペダルは普通のフラットペダルで、固定用のハーフ・トゥ・クリップとベルトが付属していた。ただ、本格的なパワートレーニングをするにはフラットペダルでは役不足。サドル同様、ペダルの交換も必須だ。

屋内トレーナーにリフレクターいる? 結局開梱せずに処分

冒頭でこの記事が”かなりニッチな領域”とした理由はここにある。交換するペダルはパワーメーター機能搭載のGarmin Vector3Sだからである。極端な話、Zwiftはペダル式パワーメーターさえあれば、ロードバイクであろうが、ママチャリであろうが、スピンバイクであろうが車体は何でもプレイできる。

Vector3Sはスピンバイクのクランクにポン付け。ここからパワー値をBluetoothでZwiftが動作するPCやタブレットに送信する。

なお、このVector3Sはスピンバイクとロードバイク(SCULTURA)で兼用している。ロードバイクに乗るのは2週間に1~2回程度、かつVector3Sは15mmスパナで手軽に脱着できるので、ペダル交換はそれほど苦にならない。

フィッティング

ローラートレーニングの代替えとするにはフィッティングが重要。いかに実車のポジションに近づけるか。HAIGE HG-YX-5006は、ハンドルの高さ/角度、サドルの高さ/前後を調整できるのである程度実車のポジションに近づけることは可能である。ただし、サドル高については、3㎝刻みのアバウトな調整幅となってしまうため、場合によってはサドル側で調整(厚みのあるカバーを使うなど)が必要になる。

フィッティングにこだわりがある方、敏感な方にはこのモデルはおすすめしない

参考までに私の身長は162㎝。ハンドル高は一番下(ロードバイクに合わせるなら大抵の人はこれ一択)、サドルは目一杯前、サドル高は下から4段目でちょうどだった。ハンドルの角度を立てればもっとサドルを引けるが、ロードバイクのエアロポジションを再現するにはこれが限度だと思われる。私より大きい方については調整幅の自由がかなりあるが、私より小さい方については購入は控えた方が良いかもしれない。(一応、サドルを一番下げれば小学2年生の息子でもかろうじて乗れるが)

Zwiftと接続

今回はAndroid版Zwiftとの接続を行う。HAIGE HG-YX-5006に付属するメーターの取り付け部分にタブレットを設置。

狙っていたかのようにぴったりなサイズ感

ちなみに付属のメーターはこれ。本体にスピードセンサーが装着されているが、ZwiftとVector3Sがあれば全て不要。配線も全て取り外しメーターとともに処分した。

いつもどおりペダルを軽く回すとZwiftがVector3Sを自動認識してパワーメーター&ケイデンスセンサーとして難なくペアリング完了。

SCULTURAのクランク長が172.5mmなのに対し、HAIGE HG-YX-5006のクランク長は160mmとかなり短いので、サイコンからVector3Sのクランク長の変更と校正を行っておく。

多く完成車のクランクは165mmか170mmなので設定変更はほぼ必須だと思われる

まとめ

スピンバイクのペダルを回すとZwift上のアバターが動く。Vector3SとZwiftが通信しているだけなので当然なのだが、なんとも不思議な感覚である。

他のZwifter達はまさか私がスピンバイクに乗っているとは思わないだろう(笑)

スピンバイクにはチェーンやタイヤがついていないので騒音と振動は皆無。家族が寝静まった後のトレーニングも自室で遠慮なくできる。また、テレワーク環境の横に設置してあるので仕事の前後や昼休み中にZwiftで汗をかくことができるようになり、トレーニングの頻度と量が大幅に増えた。スピンバイク導入により、冒頭にあげた課題は概ね解決できたと言える。

占有スペースはロードバイク1台分よりも小さい

約2万円のスピンバイクに対し、それよりもはるかに高いパワーメーター(Vector3S:79,000円、Vector3:128,000円)というアンバランスな組み合わせだが、個人的には経済的にも合理的であると思っている。

かなり対象が限定されるが、”既にVector3を持っている(もしくは購入予定)で、かつローラーを所有していない方”にとっては、最も安価にZwiftを始められる組み合わせと言える。例えば、単身赴任先にはスピンバイクを置いておき、平日はZwiftでバーチャルトレーニング。週末はVector3だけを自宅に持ち帰ってロードバイクに取り付けて仲間とロングライド・・・などといった使い方も考えられる。

また、実車を使用しないため愛車の消耗を完全にゼロにすることができるという点も見逃せない。コロナ禍で外を走る機会が減った今、屋内でのローラートレーニングの比率を増やしている方も多いのではないだろうか。そうなるとフレームや駆動パーツの消耗も無視できなくなってくる。

とは申せ、スピンバイクは所詮ロードバイクとは別物。実走感としてはロードバイク+固定ローラーよりも下。ある程度の割り切りは必要である。スピンバイクならではの課題も見えてきたので、次回はそれらの点について解説していく。

 

コメント

  1. たまさん より:

    私のブログに訪問いただきありがとうございます。それにしてもすごい脚力と、すごい機材ですね。恐れ入りました。FTPが200Wに全然届かない私には気が付かないポイントでした。

  2. コースケ@峠のよろず屋 tougenoyorozuya より:

    こちらこそ早速訪問いただきありがとうございます。いえいえ、私なんかまだまだです(^^;) 現在2500kmほど走りましたが丈夫ですね、異常は全くありません。1,000w超でスプリントするような剛脚な人だと分かりませんが十分ロードバイクのトレーニングに使えます。というか、最近外走るのが億劫でこれしか乗ってません(笑) 

  3. 匿名 より:

    なるほど、こいうやり方もあるのか!!って参考になりました。ありがとうございます。

    • コースケ@峠のよろず屋 tougenoyorozuya より:

      コメントありがとうございます。参考になったようでよかったです。
      ただ、実は3か月ほど前にスピンローラーからロードバイク&Wahoo KICKR COREに移行しました。やはり高負荷トレーニングにはスピンバイクでは限界があり・・・ 300w以上を常用されるようでしたらこのスピンバイクだと物足りないと思います。

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